top of page
  • 執筆者の写真川口建

田中光敏監督 キネマ旬報 読者選出日本映画監督賞受賞

更新日:2021年4月7日

田中光敏監督 キネマ旬報 読者選出日本映画監督賞受賞おめでとうございます。


私たち「天外者」(五代友厚・三浦春馬)ファンとしても、この賞を受賞されたことが一番うれしく思います。監督はじめ俳優さんや大勢のスタッフの方々、および五代友厚プロジェクトの結束と熱い心でのこの映画製作に取り組まれたことが、多くの読者に支持される良い作品が出来上がったことと思います。


私は映画「天外者」を7回ほど鑑賞しましたが、毎回違った場面・言葉が出てくる気がして、全く新しい映画を見ているような錯覚に陥ったような気もしました。

この映画「天外者」は永く語り継がれる映画になると私は信じています。

これは田中監督の映画制作に対する、繊細且つ緻密で丁寧な製作と心遣いが伝わってきます。また、これを演じきった三浦春馬さんの熱演が、私たち見る者に感動を与えたのだと思います。エンドロールで拍手が起きるのも納得できる映画ではないかと思います。


映画には素人な私ですが、私なりに感動と納得した点を考えてみました。その中で以下の2点を紹介します。

一つは、三浦春馬さんを中心とした若い俳優たちの熱い演技に魅了されことと共に、実像と重なり合う五代友厚の「優しさ」「約束」「正義感」「信頼性」「友情」「力強さ(リーダーシップ)」といった、「人間」五代友厚が強く印象に残りました。

その中でも具体事例としては、メイキングビデオでもよく映されている、「俺について来い」という声を振り絞った力強い言葉です。この、大阪商法会議所初代会頭就任演説シーンが、混沌とした現代に重要な言葉ではないかと、映画を見終わった後でもしばらく頭から離れませんでした。

実はこの言葉の前に話している言葉から続きます。それは「これからは商人が世界を動かす。お国だろうが何だろうが利用できるものは利用する何も持たんものは俺を利用しろ。」 そのあとに「俺に任せろ。俺について来い!」

この前段の言葉は、ちょうど岩崎弥太郎(西川貴教)が五代友厚に対し「自惚れが戻ったのう・・・」「それでええ。そうやって前に進め。のう、龍馬・・・」といって会場を出ていく場面で、五代友厚(三浦春馬)のことばはボリュームを落としているので、よ-く耳を澄まして聞かないとわからないのですが。「まずは自分でできることは自らがチャレンジしろ、後ろには俺がついている」といった「原点は自助」を示唆しているのではないかと思いました。現代に無くしつつある精神ではないでしょうか。

                   (セリフの文字おこしは多少齟齬があるかも?)


二つ目は、実は五代の事績がいくつも散りばめられています。事績をひけらかすわけでもなく、隠し味のように織り込まれていました。この辺りは監督の五代友厚の生涯をリスペクトした繊細な心遣いを感じ、より映画の奥深さを保った作品になっているのではないかと、素人ながらに感じました。以下羅列します。


➀薩摩藩から選抜され長﨑海軍伝習所で学ぶ。またこの時勝海舟と出会う

②長﨑では坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文友好を温める(4人揃って会ったか?)

➂五代才助上申書を建言する

  1)貿易の輸出で外貨を得る 2)輸入で近代設備を購入(蒸気船、大砲・小銃、農業

  機械、紡績機械、貨幣製造機など) 3)若者を留学させ人材の育成

④上海で蒸気内輪船「天祐丸」を購入する

⑤上申書の実現。使節団・随員・選抜留学生総勢19名が羽島を出発する

⑥イギリス・マンチェスターでの近代設備の商談成立

⑦金銀分析所の設立

⑧製藍業への思い(朝陽館)

⑨五代が好んで描いた竹の水墨画の場面

⑩欧米からの通信、鉄道の申請を却下、日本の国益を守る。

⑪若者が投資する炭坑、港湾施設、紡績業への惜しみない援助・貸付実行

⑫正義を通す、岩崎弥太郎への忠告とアドバイス。海運業の発展へ寄与

⑬亡き母やすへの大阪港開港報告(税関含む)

⑭大阪商法会議所初代会頭就任

⑮大阪の町を俯瞰する五代、東洋のマンチェスターを思い描く(屋根の上か大阪を見ている場面)

★私の想像ですが、映像にない改革として、鉱山経営(弘成館)、製銅会社、紡績会社、貨幣の造幣(造幣寮)、活版印刷所、証券取引所、米商会所の再興、鉄道開設、学校設立、英語辞書発刊など


私たちDream五代塾で、五代友厚の事績を学んでいる者としても十分堪能できるストーリーでした。もう一度学び直す元気が湧いてきました。


皆さんで、田中光敏監督のキネマ旬報読者選出日本映画監督賞受賞をお祝いしましょう。




閲覧数:2,659回0件のコメント
bottom of page